介護保険補足給付申請に預金通帳のコピー,配偶者の所得などを求める
「補足給付」は、施設入所の低所得者に対して食事居住費の負担軽減を行うもので、申請にもとづき実施されています。昨年の介護保険法改悪で、本人が非課税世帯という要件に加えて、(1)預金等が1000万円(配偶者があれば2000万円)以下(2)配偶者も非課税世帯―の要件が新たに加えられ、8月から実施されます。
必要性ない提出 配偶者の資産も
今回の措置は本人だけでなく配偶者の資産把握まで行うもので、厚労省は「適正に申告している担保として提出を求めるもの」と説明しています。
しかし、今でも収入要件がありますが、通帳の写しなどの提出は義務付けられていません。すでに介護保険法で銀行などに報告を求める権限が市町村に付与されており、疑義があればこの権限を行使すれば良いだけです。
配偶者まで含めて残高照会承諾書の提出まで義務付けるのは、生活保護法にもない異例の措置です。配偶者の同意が困難な場合など申請できないケースも予想され、「補足給付」から締め出される危険性は明瞭です。
生活保護よりも厳しい要件課す
今回の措置で、これからは、申請書に通帳の写しや残高照会承諾書を添付しなければ申請要件を欠くことになります。生活保護では、申請の際に収入状況を把握する書類等を提出できなくても申請は受理されます。介護保険についてより厳しい要件を課す理由はありません。
本人と配偶者の関係は良好とは限らず、配偶者に通帳の写しや照会承諾書を求めれば、家族間のあつれきを広げることにもなりかねません。DV(家庭内暴力)がある場合は提出の除外を認めるとしていますが、その判断は自治体まかせで保障はありません。
また、夫婦とも認知症の場合、残高照会承諾書を誰が提出するのか、任意後見人が専任されていない場合どうするのかなど課題は山積しています。
これらの書類が提出できなければ「補足給付」は支給されないため、「補足給付」を実質的に制限する「水際作戦」となりかねません。
こうした危険や懸念が噴出しているのは、「補足給付」を抑制するために、世帯分離している配偶者の所得まで要件に加えたことにあります。「補足給付」が受けられない人が出ないように、施行前に見直しが必要となっています。(6月30日付しんぶん赤旗より転載)
尼崎市が送付している説明書