6月議会一般質問の消費税増税に対する私の発言と当局の答弁です
市は4半期ごとに市内の事業所景況調査を行っています。今年1月から3月期の尼崎市事業所景況調査は、3月時点の調査で、市内600社へアンケートを郵送して調査を行い、回答率は34.5%でありました。この結果では、景気動向指数DI値、企業の業績がよくなったと回答した企業の比率から悪くなったと回答した比率を差し引いた数値です。
このDI値が一昨年の消費税8%への引き上げ後の6月の調査ではマイナス14.4でしたが、今回はマイナス18.3とマイナス幅が拡大し、大幅に落ち込んでいます。市内事業所の景況判断は事業所の全業種で大幅な落ち込みを示し、市内企業の景気後退が続いていることを現しています。
質問
お尋ねします。この事業所景況調査の結果から、市内でも一昨年の消費税8%への増税の影響が続いていると考えるべきと思いますが、市長の見解をお聞かせください。
答弁
本市が実施している事業所景況調査における事業所の景況感では、消費税増税後となる2年前の4月から6月期と、最新の調査となる今年1月から3月期を比べますと3.9ポイントの落ち込みが見られ、2年前から経年で見ますと、全体的にはほぼ横ばいとなっており、結果的には景況感を測るDI値が改善されておりません。2年前の消費税増税後は、DI値の動きを見ましても、小売業を中心に増税により少なからず影響があったものと考えられますが、産業全体の景況感につきましては、海外市場の影響、円高株安、電気料金や原材料費の高騰、また従業員不足など、様々な要因による結果であると認識しております。
次に消費税率引き上げに対する市長の政治姿勢をお聞きします。私は、消費税率の5%から8%への引き上げの際に、市長に消費税増税の中止を表明するように求めましたが、市長は将来にわたり社会保障制度を安定的に運営していくためには、増税は避けられないと答弁されました。
税制の基本は能力に応じて公平に負担する応能負担ですが、消費税はこの原則に反しています。また、所得税の負担率ですが、この負担率は年間所得1億円をピークにして低下します。1億円以上の高額所得者は株などの売買による利益が多くを占めるためです。所得税の最高税率は45%ですが、株売買の利益にかかる税金は15%と優遇されています。
いまタックスヘイブン、海外の租税回避地を利用し超高額所得者の課税逃れが大きな問題となっています。このタックスヘイブンを使った課税逃れの金額は、法人税だけでも全国で20兆円とも30兆円とも言われています。
財源の確保は消費税に頼るのではなく、優遇税制を改め、応能負担の税制の原則に基づいた集め方、適正な課税を行えば、財源は確保できます。
質問
そこでお尋ねします。消費税率10%への引き上げについて、増税延期ではなく、増税中止を国に求めるべきではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください。
答弁
現在のところ、国も地方も、社会保障関連経費を、赤字国債や臨時財政対策債などの、いわゆる「借金」で補っている状況にある中、「国・地方を通じた財政の健全化」、「社会保障の持続可能性」、「世代間の公平」という観点を踏まえると、偏在性が少ない安定的な財源を確保していくことが不可欠であると考えております。こうしたことから、「社会保障と税の一体改革」において、消費税率の引き上げにより対応を図ることは、必要な取組であると考えており、このたび、引き上げ時期の延期が示された中で、国に対しましては、引き続き社会保障の充実などに着実に取り組めるよう、中核市市長会をはじめ自治体間の連携も図りながら、必要な財源の確保を求めてまいりたいと考えております。
市長は今回も将来にわたり社会保障制度を安定的に運営していくためには消費税の増税は避けられないと述べられました。
市長、消費税と社会保障の財源をリンクさせることはやめるべきです。消費税を上げることができなければ、社会保障を我慢せよということにつながるからです。財源は消費税だけではありません。所得税、法人税など様々な税金があります。第1問で指摘したような所得税の優遇税制、中小企業に比べて有利な大企業の優遇制度、タックスヘイブン・租税回避地を利用した課税逃れなどにメスを入れるだけでも、十分な財源が確保できることを指摘しておきます。